by 謎彦 by なぞひこ
by Nazohiko


再び紀野恵のこと(6)

●なほこそ国の方は見やらるれ わが父母ありとし思へば かへらや

紀貫之の『土佐日記』に筆録された舟唄の、いわば子孫として、

●晩冬の東海道は薄明かりして海に沿ひをらむ かへらな

紀野のこの短歌は、生まれ出たのだろう。

衛星写真を見るような、雄大な俯瞰において、
冬から春への蘇りを、
今にも遂げようとする「東海道」の姿が描き出される。

聴覚的に極めて柔らかい「かへらや」を、
そのまま流用することをせず、「かへらな」と改めてあるのは、
硬質な情景や文体にフィットさせるための、配慮であろうか。
「かへらな」の方が、より意志的な響きを帯びているとも言えよう。# by nazohiko | 2006-10-24 13:14
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by nazohiko | 2006-10-24 13:14 | ☆旧ブログより論考・批評等
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