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再び紀野恵のこと(3)

上記のような考えは、『架空荘園』を初読した頃から、
浮きし脂の如くして、脳内に漂っていたものだが、
それを一瞬にして凝固させる、天の沼矛となったのが、
週末に古書店で買ったばかりの
塚本邦雄『現代百歌園:明日にひらく詞華』(1993、花曜社)である。

当時には脚光を浴びていたのかもしれないが、
今ではあまり知られていない現代歌人の作品を、
多く評釈しているのが興味深くて、
この本を手に取ったのだけれど、
それはともかく、塚本は紀野の短歌も採り上げており、

  ●そは晩夏新古今集の開かれてゐてさかしまに恋ひそめにけり

を、主たる評釈の対照としながら、

  ●約せしはあぢさゐ色の絵空事絵日傘さしていづちにゆかむ
  ●ふらんすの真中に咲ける白百合の花粉に荷風氏はくしやみする
  ●海に浮く水母の数の沈黙を抱きつつこの秋を別れむ
  ●片肺のすこし翳れる秋よそれ空を斜めに見てをりたるは
  ●春浅き背中合せの沈黙を薄き用紙に書きて送らむ
  ●夕月夜三人が寄つて囁ける仙人掌色の故里のこと

にも言及する。

なるほど、塚本らしいピックアップであり、

  なまじっかな「写生」などでは到底生まれ得ぬ生き生きとした迫真
  力を持つ。

  今様、もしくは六百番歌合時代の技法が、さりげなく、見事に生か
  されていて心にくい。

等の評語は、読前の予想を外れるものではなかったが、
最後に発せられた、このような言葉が、
私にとって矛の一撃となった。

  警戒すべきは、稀用古語を頻用することと、そのための古典臭とも
  言うべき癖であろう。古典によって開かれた目は、現実を鋭く直視
  できよう。

まず、「稀用古語」の愛用では右に出る者のない、
塚本自身の発言であることに驚いた。
そして、塚本の古典観や文芸観(だと私が思ってきたもの)に
照らせば一見意外な、
「古典が、現実を鋭く直視する目を養う」という論法に、驚いたのである。

※続く

# by nazohiko | 2006-10-11 13:41
by nazohiko | 2006-10-11 13:41 | ☆旧ブログより論考・批評等
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