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けふは閏7月19日なり(2)

それでは、「地球が太陽の周りを巡るサイクル」と「月(moon)が満ち欠けするサイクルの12倍」を、どのように共存させればよいのか。上述のように、両者の間には約11日の差があるわけだが、これが19年にわたって累積すると209日となり、月が満ち欠けするサイクルの7倍に、ほぼ等しくなる。

つまり、「19年間に7回」というペースで、余分な「1ヶ月」を挿入すれば、太陰太陽暦における「1ヶ月」のシステムと「1年」のシステムは、きれいに共存できるわけである。言い替えれば、13ヶ月から成る「1年」が、19年間のうちに7度出現するのだ。「閏月」と呼ばれるのは、そのために挿入される「1ヶ月」のことである。

ならば、どのような基準で「この年に閏月を挿入するべし」と判断すればよいのか。19年間に7回というのは、何とも落ちつきの悪い数値ではないか。少なくとも、4年間に1回ずつ「閏日」を挿入するグレゴリオ暦より複雑だ。また、1年の中の何処に、閏月を挿入すればよいのか。

東アジアの太陰暦(いずれも太陰太陽暦に属する)において、この操作をコントロールするために考え出されたのが、「中気」という指標である。地球が太陽の周りを巡るサイクルを、大体12等分した日数ごとに、それぞれ「雨水」「春分」「穀雨」「小満」「夏至」「大暑」「処暑」「秋分」「霜降」「小雪」「冬至」「大寒」と名付けられた日がやってくるのであり、これらを中気の日と総称する。名前から分かるように、これらは天文学的な定義によってだけでなく、季節のターニング・ポイントとしても実感的に了解されている。

そして更に、例えば「春分を含む月を、2月(February)とする」「夏至を含む月を、5月(May)とする」といった風に、暦の循環と節気の循環が対応させられてゆく。すると、「地球が太陽の周りを巡るサイクルの約1/12」の方が、「月が満ち欠けするサイクル」よりも僅かに長いため、19年間に7回という頻度で、雨水・春分・穀雨等々のいずれをも含まない月(month)が現れることになるが、それを閏月として扱うのである。

今年は、そのような月(month)が7月の直後に現れたから、これを閏7月と呼んで、8月とは別個の月(month)としてカウントしている。注目していただきたいのは、グレゴリオ暦では2月28日の直後にしか閏日が来ないのと違って、「旧暦」で閏月が挿入される位置は、固定されていないことである。

12のターニング・ポイントによって示された季節の循環と、12の月(month)の循環が揃わなくなり次第、間髪を入れずに閏月を挿入して、暦の循環と季節の循環のシンクロを堅持しようとするのだ。農耕や遊牧のスケジュールに指針を与えるという、暦が発明された当初の目的を、強く意識した手法であると言えるだろう。

今日は閏7月19日。閏月は19日間に7回あるという「19」と「7」に因んで、こんなミニ・レクチャーを綴ってみた次第。

※続く

# by nazohiko | 2006-09-11 00:29
by nazohiko | 2006-09-11 00:29 | ☆旧ブログより歳時の話題
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