by 謎彦 by なぞひこ
by Nazohiko


4月1日

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# by nazohiko | 2017-04-01 21:12 | ◆漫画を読む

君よ知るや「カニのタルト」

初めに断っておくが、とても快適なホテルだった。
朝食のバイキングも美味だったし、バラエティに富んでいた。

そして、近年ではあまり見かけなくなった「奇妙な日本語」が、
そこにはしっかりと息づいていた……。

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ベジタリマン!
「ア」を「マ」と誤植するのは、定番中の定番だが、
それにしても……ベジタリマンなのである。

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ベジタリマン2号、参上!

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ベジタリマン3号、見参!

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ベジタリマン4号の正体は「はっぽうがゆ」だった!

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「モ」が「壬(じん)」に化けた経緯を考え出すと、夜も眠れなくなる。
手書きで渡された翻訳を、キーボードで入力したのだろうか?

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文のかたちに訳してしまうのも、よく見かけるパターンだが、
筍が豚肉を煮込むことは……もしかすると、あるかもしれない。

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うめこ……。
果物にふりかけるための、梅干しの粉なのだが、
丸みを帯びたフォントと相まって、ちょっとかわいい。

さて、只今よりベスト3を発表いたします!

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銅メダルは……南陽(←南洋)カレー拒絶ケーキを取ります
原文の意味は「南洋カレーとナン(甩餅)の取り合わせ」なのだが、
「甩」には「投げ捨てる、他者を拒絶する」という語義もあるので、
「甩餅=拒絶ケーキ」という翻訳になったのだろう。

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銀メダルは……イチョウとろ火で煮込んだのヤーン!!
原文の意味は「イチョウ(←ぎんなん)を加えて煮込んだ山芋」である。

英語の"yam"(山芋)を日本語に重訳した結果、
「ヤーン」という感嘆詞(?)が出現することになった。
「煮込んだ」の後に「の」が入っているのは、
修飾語と名詞の間に必ず「的」を挟む、中国語の文法に引きずられたのだろうが、
「とろ火で煮込んだのヤーン」なんて言われると、ついつい(以下、自主規制178.png)。

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そして堂々の金メダルは……カニのタルト!!!
もはや森羅万象を超越しております。

この一角にはキャンディ、クッキー、マシュマロなど、
間食用(?)のお菓子のガラスケースが並んでいたので、
「tart=タルト」という語に、誰も違和感を生じなかったのだろう。

私は海外のホテルやレストランで「奇妙な日本語」を見つけると、
正しく書き直したものを、帰り際に渡してあげることがあるのだが、
今回はあまりに傑作揃いだったし、
お客の不便を生じるほどの誤記・誤訳でもなかったので、
むしろそのままの姿を、長く留めておいてほしいと思った。

いつの日か、私が再びあそこに投宿することがあったら、
その時も「カニのタルト」が、私を出迎えてくれることを望む。

※ホテルの名前は出しませんが、
 台湾の古都・台南にご旅行の際には、ぜひお勧めしたい良いホテルです。
 林百貨(戦前の「ハヤシ百貨店」)の向かいにあり、
 いくつもの観光名所へ、徒歩ですぐに行けます。
 客室は広々としており、無線LANの通信速度も申し分ありません。
 洗濯機・乾燥機が無料で利用できるので、長期滞在にも便利です。

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# by nazohiko | 2017-03-31 15:18 | ◇見聞を誌す

君よ知るや汝窯の青磁水仙盆

大阪市立の東洋陶磁美術館で、
特別展「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」を観てきた。
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台北の国立故宮博物院に収蔵される、中国歴代の名陶は数多あれども、
中国北宋時代の終わり(11世紀末~12世紀初)に、
河南地方の汝窯(じょよう)で作られた「青磁無紋水仙盆」は、
最高峰との呼び声をほしいままにする優品である(下の写真を参照)。
「水仙を生けるための盆」と呼ばれているが、実際の用途はよく分かっていない。
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汝窯の青磁は現存数が極めて少ない上に、
貫入(釉薬の細かい亀裂により生じる紋様で、開片とも呼ぶ)の全くない現存作品は、
これを措いて、他には世界のどこにもない。
そんな「青磁無紋水仙盆」が、初の海外出展として大阪へやってきたのである。
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私はこの器を、台北故宮で幾度も観たことがあるのだが、
それでも、今回の特別展に出かける価値が十分にあったのは、
台北故宮の擁する汝窯の青磁水仙盆を他に3点、
同じく台北故宮に収められた、清朝雍正~乾隆時代(18世紀)の複製品1点、
そして、東洋陶磁美術館が自ら収蔵する汝窯青磁水仙盆1点、
合計6点を一挙に展示するという、びっくりするような企画であるからだ。
(上の写真を参照……中央上が「無紋水仙盆」、左下が東洋陶磁美術館の所蔵品)

というよりも、台北故宮で見慣れた「青磁無紋水仙盆」と同じ形式の汝窯磁器が、
こんなにも現存していることに、まず驚かずには済まされなかったし、
まして台北故宮が、汝窯の青磁水仙盆を複数持っていたとは夢にも思わなかった。
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更に、今回の特別展では、
中国史上最大の美術品コレクターであった、清朝の乾隆帝(18世紀)が、
「青磁無紋水仙盆」や、その他の青磁水仙盆のために作らせた、
紫檀製の台座も展示されているのがすばらしい。
台座の内部には、乾隆帝の親筆になる豆本が収められている(上の写真を参照)。

私の知る限り、台北故宮では青磁水仙盆の「本体」のみを展示しており、
清朝宮廷で作られた台座については、その存在さえ紹介されていなかったと思う。
後世の附加物は切り離しておくべきだというのも、一つの見識なのだろうが、
北宋の青磁が、清の時代にはこのような「愛され方」をしたという事実、
言い換えれば「賞翫の歴史」という、もう1つの美術史を物語ってくれる品として、
青磁水仙盆とは異なるケースに並べられた、合計3つの台座は値千金であった。
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門外不出の「青磁無紋水仙盆」を初めとして、
台北故宮に蔵する汝窯青磁水仙盆のありったけ(?)を日本に運んでくるという、
この企画が実現するまでには、
風聞する所によれば、並大抵ではないほど長い道のりがあったらしい。
収蔵品の水準では、国際的に評価の高い美術館であるとはいえ、
国立の機関でもなく、大企業の傘下にあるわけでもない東洋陶磁美術館で、
今回の特別展を開催に導かれた、館長の出川哲朗氏(!)に拍手を送ろう。

特別展は3月26日まで続く……ということは、
しばらくの間、台北の国立故宮博物館で「青磁無紋水仙盆」や、
その他の汝窯青磁水仙盆を観ることは、当然ながら不可能である。
もしあなたが「青磁無紋水仙盆」をお目当てに、
3月中の台湾旅行を予定しておられるのならば、
エバー航空のHello Kitty Jetも、円山大飯店のスイートルームもキャンセルして、
大阪の中之島へ奔り、東洋陶磁美術館へ駆け込まれるがよい。
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# by nazohiko | 2017-03-09 23:15 | ◆展覧を観る

君よ知るや台湾紅茶と台湾ウィスキー

春の休みに、台湾旅行に赴かれる方も多いだろう。

台湾のおみやげとして、
烏龍茶や鳳梨酥(パイナップルケーキ)は定番となっている観があるが、
これから台湾に発たれるあなたに、ぜひともお勧めしたいのが、
台湾の紅茶とウィスキーだ。

世界的には(もちろん日本でも)まだまだ知名度が低いけれども、
品質の高さとキャラクターの立ちぶりは、この謎彦が保証しよう。


台湾紅茶の代表は、「台茶18号」という品種から作られるものだ。
日月潭のある南投県魚池郷が、この品種の主な栽培地である。
1930年代から40年代にかけて、「内地」からやってきた農業技師が、
紅茶作りに適したアッサム種の茶樹を、ビルマから台湾に導入した。

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台茶18号は「蜜香紅茶」の異名を取るように、
その葉を発酵させて熱湯で抽出すると(つまりホットの紅茶を入れると)、
蜂蜜のような香りが、かすかに感じられる。

同じく台湾で産出する東方美人茶(オリエンタル・ビューティ)が、
「紅茶に近い」と評されることの多いながらも、
製法においても、香りや味においても、
あくまで烏龍茶(半発酵茶)の領域にあるのに比して、
台茶18号は名実ともに、まぎれもなく紅茶(全発酵茶)の領分に属している。

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ミルクや砂糖を入れず、ストレートで飲むのが一般的であり、
実際に、それが最も適していると思うが、
面白いことに、ストレートの台茶18号は緑茶や烏龍茶と同じように、
日本料理や台湾料理に合わせても違和感がないし、
他の紅茶と同じように、洋菓子に合わせても勿論通用する。

ガイドブックに載っているような茶舗へ、わざわざ行かなくても、
魚池郷で栽培・製造された良質品が、空港の免税店で簡単に手に入るので、
そこでお買い求めになるとよい(下の写真を参照)。

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台湾ウィスキーの代表は、「噶瑪蘭(カバラン/カヴァラン)」である。
南国台湾でウィスキーを作るなど、奇想天外に思われるかもしれないが、
果たして、台湾初のウィスキー工場が宜蘭県に建てられ、
カバランの製造が始まったのは、2008年という極めて近い過去のことだ。

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カバランとは、漢民族が宜蘭に入ってくる前から、
そこに居住していた少数民族の名で、「平地の人」を意味するという。
やがて、宜蘭の地もまた「カバラン」と呼ばれるようになった。
清朝統治時代に「宜蘭」という地名に改称されたが、
これには「宜しきカバランの土地」という意味が込められているらしい。

国際的な品評会で、本場スコットランドの産品に競り勝ったとか、
マンゴーのような香りがするとか、
いろいろな情報や感想が、インターネット上に流通しているが、
あまりアルコール飲料に馴染まない私には、
カバランというウィスキーを、達意の言葉でご紹介することが叶わない。

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個人的な出来事を書き留めることで、批評の言葉に代えることにしたい。

私自身がカバランを知ったのは、昨年の夏のことだ。
機内食に添えて、台湾産のウィスキーとして勧められたものを気に入り、
機上ではめったにしない、酒のお代わりを頼んだのだった。

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中華航空(チャイナ・エアライン)のビジネス・クラスだったはずで、
その時に出されたのは、定番であるらしい銘柄だったが(上の写真を参照)、
もしかすると、他の航空会社でもカバランを出しているかもしれない。
日本でも入手できないことはないが、
これもやはり、空港の免税店で買い求めるのが便利だろう。

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# by nazohiko | 2017-03-08 21:30 | ◇意見を書く

当たり前ポエムと言えば……。

『論語』は、世界最古にして天下最強の「当たり前ポエム」である。

……と聞いて、思わず頷いてしまった人は注意してほしい。

『論語』の言葉を「当たり前」だと思う人が、今ここに少なからずいるのは、
『論語』に記されていることは「正しい意見」や「正しい感情」なのだと、
儒学者や支配者が長い長い時間をかけて、私たちに刷り込んできたからなのだ。
少なくとも、そういう面は確実にある。

岩波文庫に入っている、金谷治訳注『論語』のカバーに、
古い道徳主義のイメージをもつ人もあろうが、決してむずかしいことが書かれているのではない。人間として守るべき、また行なうべき、しごく当り前のことが簡潔な言葉のうちに盛られている。
と書いてあるのを目にして、
反感を覚えたのは、私が中学生の時分だったが、
『論語』という書物を、或る程度まで客観的に評価し、
その内容を、或る程度まで肯定するようになった今でも、
金谷氏の物言いは無防備(或いは狡猾)でいけないという思いは、変わっていない。
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# by nazohiko | 2017-03-08 00:32 | ◇意見を書く