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実朝の春

源実朝の『金塊和歌集』を、初めて通読したのは、
古書店で求めた、今にも崩れそうな岩波文庫版だった。

その文庫本が、復刊されているのを見つけたので、
買い直して、久しぶりに読み返してみた。

とりあえず「春部」まで目を通して、気付いたこと。

実朝の和歌世界において、春という季節は、
あからさまに過ぎるほどに、
「然るべき文化」とでも呼ぶべきものの比喩となっている。
"culture"の訳語へと、重心を移してしまった、
近代的な意味での「文化」というよりも、
「王者や聖人が、文を以て民を教化する」という、
「文化」のもともとの字義に、幾らか近い意味において。

そして、「然るべき文化」とは、
実朝自身が代表する、鎌倉武士の文化ではなく、
天皇が代表する、古き王朝文化に他ならなかった。
なおかつ、それは決して過去のものではなく、
京都の宮廷や吉野の山奥に、今なお息づいているものであり、
未来永劫にわたって、決して揺らいだり色褪せたりしないことを、
実朝は、心から信じ込んでいた。
或いは、無理矢理にでも信じ込もうとしていた。

「然るべき文化」から、地理的にも社会的にも、
遠く離れて暮らすことを、余儀なくされていた彼は、
まるで孤独に耐えかねたかのように、
都の方角からやってくる春を渇望する歌や、宮廷や吉野の春を想像する歌を、
繰り返し、繰り返し、書き記すのである。

# by nazohiko | 2007-05-12 00:12
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by nazohiko | 2007-05-12 00:12 | ☆旧ブログより論考・批評等

アリゴーニ氏に猛省を促す一方で……

モーツァルトの交響曲全集が、CD10枚組で1700円!

かつてスタンダールが指摘したように、
モーツァルトの音楽には、
厳しさと激しさに裏打ちされたものが、実は多くて、
特に交響曲は、本気で聴くと結構疲労させられる。

のんびりと聴き流すため「だけ」の全集があれば、
1つは持っておきたいものだと、かねがね待望していた。
良い意味で「あくまでB級」なCDを……。

アレッサンドロ・アリゴーニ指揮、
イタリア・フィルハーモニー・オーケストラ。
まるで聞いたことのない名前だが、
「イタリア人の演奏するモーツァルト」への曖昧な期待から、
合計46の曲目から成る、この全集を買い求めた。

正規に販売されているCDとしては、廉価すぎることや、
ホルン奏者を、他の曲よりも多く要するためだろうか、
「交響曲第32番」が収録されていないことが、
演奏水準を予想する上で、不安材料になったが、
いざ聴いてみると……。

彼らの演奏スタイルは、
典型的な「20世紀の室内管絃楽団によるモーツァルト」で、
今となっては苦笑を禁じ得ないところもあるが、
聴き流すための演奏としては、
むしろこれくらい「楽天的な時代遅れ」な方がありがたい。
チェロとコントラバスが、
元気いっぱいに存在感を示すのも、耳に快い。

しかし、である。
何と安心して聴けない合奏ぶりであることか。
フルート同士、ホルン同士で作られる和音は汚く、
これでは和音というより、ほとんどホワイトノイズである。
高音絃楽器も問題であって、
縦方向にも横方向にもブレが目立ちすぎる。
木管楽器の場合と同じように、和音が耳障りだし、
八分音符で伴奏を刻む時には、リズムの流れが怪しくなる。

そもそも、「全集」と銘打ったCDを出すというのは、
演奏家にとって、一世一代の大事であるはずだ。
こんなお粗末な演奏を、
「全集」の名のもとに、売り出してよいのだろうか。
アリゴーニ氏には、猛省を促したくなった一方で、
「お手軽に聴けるモーツァルト交響曲全集」という
矛盾的な代物を求めていた、私自身にも、
反省が求められるべきであろうことに気付いた。

とりあえず最初の1枚を聴き終えて、
私は、ベーム盤やホグウッド盤を聴いた後とは別の意味で、
ずいぶんと疲れてしまったのだが、
モーツァルトの交響曲を聴いて、どのみち疲れるのなら、
しっかりした名演を、しっかり聴き込んで疲れたい……というのが、
今回の結論である。

「しっかりした名演」という言葉には、
「演奏技術の堅実な演奏」という意味と、
「芸術的表現力に優れた演奏」という意味を、共に込めてある。
ある程度まで、技術水準の高い演奏であれば、
「聴き手を疲れさせる音楽」としての、
モーツァルトの交響曲の薬効成分は、
おのずから立ち上がってくるだろうという、
希望的観測に立脚して、
あえて「名演」の一語で括った次第である。

# by nazohiko | 2007-05-09 00:31
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by nazohiko | 2007-05-09 00:31 | ☆旧ブログより論考・批評等

たまには並んでみた

並ばないと入れない食べ物屋には、
めったに行かない性分なのだが、
休暇を共に過ごした客人と連れ立って、
そういう場所ばかり渡り歩いた。

*  *  *

中でも印象深かったのは、
東京・築地市場の「鮨文」(握り寿司)と、
奈良・東向通の「おかる」(お好み焼)。

*  *  *

「鮨文」では、おまかせのコースを食べたのだが、
ほんの間奏曲のように差し出された、蛍烏賊の軍艦巻に、
店の力量が、最もくっきりと刻印されていたように思う。

蛍烏賊という食材は、多かれ少なかれ、
臭味(として私には認知される風味)を免れ難いゆえ、
口に入れる時に、ついつい身構えてしまうのだけれど、
「鮨文」の軍艦巻は、そんな「烏賊の原罪」を、
完璧にシャットアウトすることに成功しており、、
蛍烏賊の良いところだけが、舌に溢れ出てくる。
その清雅な奔流に、私はただ身を任せていればよかった。

*  *  *

「おかる」のお好み焼は、
蓋を被せて、蒸し焼きにするせいもあってか、
表から芯まで、ふわふわとした食感だ。

もう一つの看板メニューであるらしい、明石焼も味わったが、
お好み焼と明石焼が描き出す、
穏やかな「食感の襲色目」に、大いに魅惑された。

店内には、地元の書家・津山白鳳の揮毫による
「おいしい/おいしい/おかるの/おこのみ」という
横長の額が懸かっていたが、
なるほど、ここのお好み焼は、
全部ひらがなでなければ、その慈味を書き表せまい。

*  *  *

京都・堺町通の「イノダコーヒ」には、
ずいぶん久しぶりに、足を運んだ。
私は、珈琲に酸味よりも苦味を求める質なので、
定番とされる「アラビアの真珠」ではなく、
「ジャーマン」の方が好みに合う。

ここのケーキやパフェは、
クリームの甘さの、抑え加減が絶妙であって、
それ自体としても美味だし、珈琲という主役を邪魔しない。

店で飲むのと同じ風味を、
自宅では再現できっこないと、重々承知しながらも、
帰りがけに豆を買い求めた。

*  *  *

東京・駒込の「アルプス」では、
アイスクリームかと錯覚するほど、しっかり冷やされた、
チーズケーキ系の菓子「リゼット」に、好感が持てた。

但し、惜しむべきことに、
珈琲の役回りが、しっかり計算されていないと言うべきか。
一個の飲み物と見なすには、存在感が平凡だし、
菓子の引き立て役と見なすにしても、しっくり来ないようだ。

「人気店の傲り」と決めつけたくはないが、
店員の態度が、どうも宜しくないことや、
禁煙区画が小さすぎて、なかなか入れない上に、
中二階というより、階段の踊り場と表現した方が良さそうな、
冷遇的な場所をあてがわれていることも、
私には、不満であった。

あくまで洋菓子屋の附属喫茶室だと割り切って、
持ち帰っても型崩れしないものを、
テイクアウトするのが、賢明な付き合い方だろう。
菓子が上質であることに、異議はないのだから。

*  *  *

ごちそうさま。

立夏ですなあ。

# by nazohiko | 2007-05-06 21:50
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by nazohiko | 2007-05-06 21:50 | ☆旧ブログより論考・批評等