管絃楽の打楽器だけを映し続ける動画が、Youtubeに少なからずある。
これらの動画を視ると、耳慣れたはずの楽曲が、意外な箇所で打楽器を使っていたり、
記憶していたのとは異なるタイミングで、打撃が入ったりするのに気付かされる。
もしや、と思って検索してみたところ、
ベルリオーズ「幻想交響曲」の第5楽章から、
舞台裏で鐘を打つところを撮影した動画が、さしあたり4篇見つかった。
以上いずれも、David Valdés(Asturias Symphony Orchestra)。
舞台裏に陣取って、右手で高音の鐘(C)を打ち、左手で低音の鐘(G)を打つ。
William R. Hudgins(Boston Symphony Orchestra)。
やはり舞台裏だが、両手を使って高低の鐘を打つ。
奏者は不明(Royal Concertgebouw Orchestra)。
ロビーのような場所に鐘を持ち出し、右手は高音の鐘を、左手は低音の鐘を打つ。
鐘が逆さに立てられており、奏者は内側を叩くというのが特徴的だ。
4篇の動画を視ながら、私は今更のように、
鐘のリズムと音高が、徹底して「C-C-G(等間隔)」の繰り返しであることを意識した。
金管楽器を中心として進んでゆく旋律と、鐘の音の「付かず離れず」の妙には、
こんなあたりに、秘密のひとつがあったようである。