by 謎彦 by なぞひこ
by Nazohiko


君よ知るや「勸世宗親會」(3)



反南藝大合併案「勸世美少女」聲援影片曝光
(台南芸術大学の合併案に反対する「世直し美少女」の応援ヴィデオが流出)

台湾の新聞「自由時報」のウェブサイトより。
http://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/1624404

勸世美少女(勧世美少女=世直し美少女)を、ダテで名乗っているのではない。

台湾の各地で、国立大学の合併計画が論議を巻き起こしているが、
古都・台南にある台南芸術大学を、
成功大学(こちらの方が遥かに大きい)と合併するという動きに対して、
台南芸術大学の教員・学生が立ち上がった。

彼らは、首都・台北の教育部(文部科学省に相当)前で抗議活動を行ったが、
その中に、勸世美少女娃娃(世直し美少女人形)の姿があった。
民族音楽研究所(民族音楽研究科)の大学院生である勸世美少女娃娃は、
この日ばかりは黒いサングラスを外し、
代わりに、葬儀で遺族が用いる麻布のかぶりものを身に付けていた。

そして、おもちゃの紙幣をばらまきながら、
大学の合併計画が「金銭をせしめるためのゲーム」に過ぎず、
それによって「芸術教育が命を絶たれてしまう」ことを、歌と言葉で訴えたのである。

このへんで、「勸世宗親會」(勧世宗親会=世直し一族)というユニット名について、
中国語のニュアンスを踏まえた紹介をしておくべきだろうか。

「勸世」を、日本語に強いて訳せば「世直し」となるけれども、
厳密には、「善を勧め悪を戒めて、世の人々を教化する」という宗教的な臭いがある。

「宗親會」(そうしんかい)も、簡潔な日本語にするなら「一族」と訳すほかないのだが、
これも厳密に言えば、「宗族」(そうぞく)と呼ばれる漢民族の親族集団が、
例えば「李氏宗親会」や「陳氏宗親会」のような名称で、
近代以後に結成するようになった互助組織のことだ。
個々の宗親会は、往々にして莫大な数のメンバーを擁するが、
それは、相互扶助の人脈を求める者たちが、
「姓氏が同じだから、我々は血が繋がっている」という、
明らかに根拠薄弱な「お約束」に基づいて結び付き、
皆で「一族の団結と互助」を演じることにしたからなのである。

話が長くなってしまったが、
要するに、「宗親會」という語には、
「互助のための組織」や「虚構された一族」という臭いが、どうしても付いて回る。
なおかつ、「勸世」も「宗親會」も、
今となっては、多かれ少なかれ「古めかしい」という語感がある。

若い女性たちをヴォーカルに据えた音楽ユニットが、
よりによって「勸世宗親會」なんて名前であるということ。
私はそこに、ほくそ笑みを誘うようなパロディ精神ばかりを読み取っていたのだが……。

もしかすると、少なくとも勸世美少女娃娃(世直し美少女人形)に限っては、
幾分なりとも、本気で「勸世」のメッセージを発信して、
彼女の「宗親會」に、我々を巻き込もうという思いがあるのかもしれないぞ。


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by nazohiko | 2016-06-28 22:10 | ◆動画を視る
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