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会いたかった~!(4)

 神尾暢子氏は先日の記事「会いたかった~!」で紹介した『纂修後鳥羽院宮内卿歌集稿』に加えて、「後鳥羽院宮内卿歌集稿補遺」を『王朝』第4号(王朝文学協会、1971)に掲載しているようだ。これも入手することにしたい。宮内卿の真筆であることが疑わしい歌まで、既に『纂修後鳥羽院宮内卿歌集稿』に採られているからには、更にどのような歌が「補遺」として集められたのか、なかなか気になる所だが、或いは歌そのものではなく、彼女の歌業に関する各種史料を並べてあるのだろうか。

 宮内卿に言及した鎌倉時代の文章と言えば、『古今著聞集』に記されたスキャンダル小咄(「会いたかった~!」に掲出)を除けば、作者未詳の『増鏡』と鴨長明の『無名抄』が、私の知る全てである。前者では巻一「おどろのした」に、後鳥羽上皇の激励を受けて涙ぐむほど発奮し、作歌に熱中した彼女の姿が記され、後者では「俊成卿女、宮内卿、歌のよみやう変ること」において、諸々の文献に繰り返し目を通した上で、それらを手に取らないで作歌した俊成卿女と、机に広げた書物を睨みながら、昼夜を問わずに歌を詠んだ彼女が対照される。

  この千五百番の歌合の時、院の上のたまふやう、
   「こたみは、みな世に許りたる古き道の者どもなり。
    宮内卿はまだしかるべけれども、けしうはあらずと見ゆめればなん。
    かまへてまろが面(おもて)起すばかり、よき歌つかうまつれ」
  と仰せらるるに、面うち赤めて涙ぐみて候ひけるけしき、
  限りなき好きのほど、あはれにぞ見えける。

 『増鏡』より。「まろが面(おもて)起す」ような良い歌を作れという、青年上皇の熱気を帯びた言葉と、「面うち赤めて涙ぐみて」それに聞き入る少女歌人の描写が、「面」という語を仲立ちとして、美しく向かい合う。

 因みに、後年の後鳥羽上皇が和歌論や歌人評などを語った「後鳥羽院後口伝」に、彼女の名は現れない。「女房歌詠み」として挙げられたのは、「やさしき歌あまた詠めりき」という宜秋門院丹後(異浦の丹後)1人であった。
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by nazohiko | 2013-01-26 19:52 | ◆詩歌を読む
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