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再び音楽における「非人情」について

 旧ブログに書いたものをこちらへ移し替えた際、今から6年余り前の2006年の秋に「こんなベートーヴェン」と題する一文を綴っていたことを思い出した。ベートーヴェンの第3交響曲の草稿と現行版を比較して、「前者がナポレオンという実在の風雲児を想起させる『人間臭さ』において、それはそれで優れた音楽であるのに対し、後者は『非人情』なまでの翳りなさや、同じく『非人情』なまでに素早い変わり身を前面に押し出すことによって、いわば『ナポレオン交響曲』から『英雄交響曲』への脱皮を果たしている」という感想を述べた次第である。

 読み返してふと念頭に浮かんだのだが、モーツァルト最後の交響曲とされる通称「ジュピター」も、ベートーヴェンの場合に通じる「『非人情』な音楽作り」というキーワードによって、その尽きない魅力の一端を理解することができるように思われる。典型的な箇所として、弱奏を主体とする第2主題部分が管絃楽の全休止によって一旦途切れた直後、突如としてハ短調の咆吼が湧き起こり、かと思えば一種の内にハ長調に転じてしまうくだりを挙げておきたい(ここでトランペットとティンパニに支えられながら、ドミソの分散和音を強奏の四分音符で踏み上がってゆくヴァイオリン2部の「居直り」ぶりには、開いた口が塞がらない程だ)。なおかつ、次なる全休止によって音楽が再び停止した後には、先程の第2主題部分に輪を掛けて気楽な歌謡風主題(提示部を締め括るための)がそれに引き続く。何というやりたい放題だろう。しかし結果として、何という信服感を聴く者に与えてしまうのだろう。

 この交響曲の楽譜に「ジュピター」と書き加えたのは、モーツァルト本人ではないらしいが、この曲の本質を(モーツァルト以外の)誰かの名前によって表そうとするならば、「非人情」の愉悦を絵に描いたようなジュピターの大神ほどに相応しいものは、そう簡単に見つかるまい。
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by nazohiko | 2013-01-19 12:05 | ◆音楽を聴く
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