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けふは端午節なり

今日は旧暦五月五日、端午節である。

端午の節句と言えば、あやめ。
漢字で「菖蒲」と書いてはいけない。
「あやめ」という文字のかたちが、
あの花弁の曲線をかたどっているのだから。

  ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな

言わずと知れた、古今集恋部の巻頭歌である。
「詠み人知らず」として載っているが、それでいいのだ。
具体的な人名が添えてあったら、香気が半ば消し飛んでしまう。

  昨日までよそに思ひしあやめ草けふ我が宿のつまとみるかな

拾遺集の夏部に採られた、大中臣能宣の歌。
もしかすると、「あやめも知らぬ」の作者が、
二十年くらい後になって、このように詠んだものか。

「よそ」という言葉が、王朝和歌に用いられる時、
そこには、気の遠くなるほどの心理的隔絶感が宿っている。

大中臣能宣が何歳まで独身だったのか、
どこかの本に、ちゃんと書いてあるのかもしれないが、
人品いやしからぬ晩婚の男が、旧暦五月の夕涼みに耽っている姿を、
私は、この歌の向こうに思い描くのである。

# by nazohiko | 2007-06-19 00:21
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by nazohiko | 2007-06-19 01:51 | ☆旧ブログより歳時の話題
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