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続・蔵書印というもの

西泠印社の印泥については、
葛原妙子の歌集『朱霊』に、ちょっと出てくるのを思い出した。
西「冷」印社ではなくて、西「泠」印社というのが正しい名前なのだが、
そのことに気付いている人は、かなり少ない。
「冷」と「泠」を異体字だと思っている人もあるが、実は文字そのものが違う。

さて、印泥の主要成分である硫化第二水銀(辰砂)は、
そのままでは、人体に吸収されにくい物質であるため、
日常的な捺印に使うくらいなら、毒性を心配するに及ばない(はず)。
しかし、これを加熱すると水銀が分離して、
気化した水銀(水銀蒸気)が、空気中を漂ってしまう。
水銀蒸気は、肺から吸収されやすく毒性が高いので、
故に、印泥を火中に投じてはならない。

そこで、ふと思い至ったのだが、
印泥として硫化第二水銀を日常使用する国々では、
「左義長(とんど)」と称して、書画を焼却する行事が行われたり、
「敬字亭」と称して、書画を焚くための炉が設けられたりしてきた。

表向きには、文字に呪力が宿っているという民間信仰によるもので、
呪力を持ったものであるゆえに、
特別な時間や場所でなければ、処分できないという論理である。
だが、それだけだろうか。

書にせよ絵画にせよ、落款印が捺されることが多いし、
絵画作品であれば、絵の具としても硫化第二水銀を用いる。
こうした部分を火にくべることによって、
水銀蒸気が流出してしまうことを避ける、経験的な知恵としても、
みだりに書画を焼くことを、禁じてきたのではないか。

一枚の書画が含有するくらいの量の硫化第二水銀から、
どれくらいの水銀蒸気が出てくることになるのか、
私には分からないので、大きなことは言えないのだが。# by nazohiko | 2007-06-02 20:27
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by nazohiko | 2007-06-02 20:27 | ☆旧ブログより論考・批評等
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