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「五人づれ」って誰だと思う?

岩波文庫の新刊コーナーに
五人づれ著『五足の靴』なる一冊を見つけて、
「なんのこっちゃ?」と、手に取ってみる。
本文の始まるあたりに目を走らせるや、
「おお、これか!」と破顔一笑して、直ちに買い求めた。

明治四十年(一九〇七年)の夏休み、
若き与謝野鉄幹・北原白秋・木下杢太郎・吉井勇・平野万里が、
長崎・平戸・島原・天草などを、一ヶ月かけて遊歩した。
白秋の故郷である柳川にも、もちろん皆で立ち寄った。
彼らは旅を続けながら、「五足の靴」と題して、
紀行文を「東京二六新聞」にリレー連載したのだった。

「明星派」や「パンの会」の文人たちに関する、幾つかの本を通して、
伝説的なメンバーによる九州旅行のことや、
彼らが紀行文を連載したことは、話に聞いていたけれども、
その「五足の靴」を実見したのは、今回が初めてである。

どの回を誰が執筆したのか、ほとんど明らかでないらしく、
これまでに単行本化されたことがなく、
アンソロジーなどに収録される機会も乏しかったのは、
そこがネックになっていたからなのかもしれない。

岩波文庫の巻末解説によると、
同社の『白秋全集』に、附録として収められているそうだし、
後になって分かったことには、
『明治文学全集』の「明治紀行文学集」にも入っている。
『白秋全集』にも『明治文学全集』にも、
私は、そこそこ親しんできたつもりだが、
メジャーな巻の収録作品ではないので、
「五足の靴」とは、あいにくニアミスに終わってしまった。

誰が執筆したのか、大半の回について不明だというのが、
なるほど、無理もないことだなと思わせるほどに、
どの回も、紀行文としての目の付けどころや文体が、
互いに、かなりの程度まで似通っている。
いずれの文章もレヴェルが高く、かつ快く読めてしまうので、
そのことが、気になりにくいのだけれど、
いざ気にしてみると、なかなか不気味な現象ではある。

巻末解説によれば、
白秋の実家訪問記は、平野万里の筆によると推定され、
また木下杢太郎は、自分の書いたうちの二篇を明らかにしている。

そうと指摘されてみれば、これらの回には、
「確かに万里っぽいかな、杢太郎っぽいかな」という感触がある。
そして、その感触を手掛かりにしながら読み進めてみると、
「これは万里かもしれない、これは杢太郎かもしれない」と、
おぼろげながら筆者の見えてくる回に、
ぽつぽつと出会うことになるのだが……。
大見得を切る自信がないので、詳しい話は避けておく (^^)ゞ

# by nazohiko | 2007-05-29 00:22
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by nazohiko | 2007-05-29 00:22 | ☆旧ブログより論考・批評等
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