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吉野秀雄の『寒蝉集』(1)

会津八一に関する小連載「さすらふ学人の歌」が、
しばらく止まったままになっているけれど、
会津八一の歌集や随筆に、とりあえず目を通し終わった今は、
彼の弟子だった吉野秀雄の作品を、年代順に読み進めている。

私家版を含めれば第三歌集になる『寒蝉集』(1947)を、
ほんの先程、クリアしたところだ。
私にとっては、たぶん三度目の通読になる。

戦争末期の大変な時に、妻が夭折するし、
吉野自身も、結核をこじらせて吐血を繰り返すし、
やっと戦争が終わったと思ったら、
今度は母が逝ってしまうし……。
そんな二年間に詠まれた、四百首あまりを一冊に収めてある。

凄惨悲痛の代表選手のような歌集でありながら、
読んでいるうちに、白けてしまうこともなければ、
再起不能になるほどのトラウマを、刻みつけられることもない。
むしろ、二度でも三度でも手に取って、
玩味熟読したくなってしまうから、この歌集は稀有なのだ。
それは、所謂「怖いもの見たさ」という感情ではない。

  いつだつて吉野秀雄は泣きがほの一歩手前のやゝ非対称

※続く

# by nazohiko | 2007-01-31 00:17
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by nazohiko | 2007-01-31 00:17 | ☆旧ブログより論考・批評等
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