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発信 ゆんゆん 受信 やんやん

木下杢太郎全集の、詩の部分だけ、
大変な安値で出ていたので、迷わず買い求めた。

詩集『食後の唄』や戯曲「南蛮寺門前」など、
メジャーな作品には、いろいろ親しんできたつもりだが、
さすが全集だけあって、未知の詩歌がごろごろしている。

杢太郎の作詞した「伊東小学校校歌」も、その一つだ。
静岡県伊東市は、彼の故郷である。

  西に山、東に海、
  美しいかな、この岡、われらが里。
  あれあれあれあれ、朝日子登る。
  あれあれあれあれ、船出の叫び。
  さればわれ等も親々の如く、
  力めむかな、いざ、はらからよ、友よ。
  力めて更に歩武を進めむ。
  額に汗、
  腕に力、
  意志強く、質實に、されどやさしく、
  いざ、はらからよ、同窓の友よ。
  あなあなあなあな、幸ある御國。
  あなあなあなあな、樂しきつどひ。

「昭和三年八月作」と附記されているのだが、
何というアヴァンギャルドな校歌であろうか!

宗左近の作詞した「清陵情報高等学校校歌」が、
数年前に、ちょっとした話題になったが、
その「発信 ゆんゆん」や「受信 よんよん」を、
杢太郎の「あれあれあれあれ」と「あなあなあなあな」は、
遥かに先取りしていると言ってよい。

  http://www.seiryojoho-h.ed.jp/webt/syoukai/kouka/kouka.htm

当時の杢太郎は、東北帝国大学医学部の教授であり、
「著名な詩人」というより「郷土出身の偉い学者」として、
校歌の作詞を依頼されたのだろう。
それゆえか、良くも悪くも校歌風のフレーズに満ちているが、

  あれあれあれあれ、朝日子登る。
  あれあれあれあれ、船出の叫び。

と続くところは、
印象派の絵画のように、鮮烈なイメージを与えてくれるし、

  額に汗、
  腕に力、
  意志強く、質實に、

という一本調子な羅列が、
息苦しい行進曲調に陥ってしまう寸前で、

  されどやさしく、

と転折させてみせるあたりにも、杢太郎の刻印は疑いない。

世間では、クリスマス・イヴと呼ばれる晩である。
この晩に、杢太郎の全詩歌を入手することができたのは、
キリシタン文化に造詣の深かった彼と、
今年の夏に鬼籍に入った宗左近が、
力を合わせて、天上から「発信 ゆんゆん」してくれた、
クリスマスの贈り物なのかもしれない。
ならば、ありがたく「受信 よんよん」させていただこう。 # by nazohiko | 2006-12-24 20:13
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by nazohiko | 2006-12-24 20:13 | ☆旧ブログより論考・批評等
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