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オスマン・トルコ軍楽隊

オスマン・トルコ軍楽隊(メフテルハーネ)のCDを、私は2枚持っていて、他にトルコのウェブサイトからダウンロードしたmp3が20曲ちょっとあります。

ボル(トランペットに近い)とズルナ(オーボエに近い)の斉奏によるメロディ、ダウル(太鼓の一種)やズィル(シンバルに近い)などによるリズム、そして男声の斉唱から成る行進曲は、モーツァルトやベートーヴェンの「トルコ行進曲」から見て本家筋に当たります。使われている音階(厳密には「音階」というよりも「旋法」)が、意外なほどヨーロッパ的に聞こえるので、なるほどトルコという国が「イスラム世界の西端」であると同時に、「ヨーロッパ世界の東端」でもあることを、感覚的に了解させてくれます。だからこそ、ウィーンの作曲家たちは、あまり抵抗感なく模倣できたのでしょう。オーケストラにシンバルが加わったのも、トルコ軍楽の影響でした。

一方で、グレオリオ・パニアグワの率いるアトリウム・ムジケー合奏団が、古代ギリシアの音楽を「復元」したCDも持っていますが、その響きは当時のギリシアが「ヨーロッパ世界の南端」というよりも「オリエント世界の西端」として、文化的に位置づけられることを確認させてくれるのです。そもそも、ギリシア悲劇が栄えていた頃には、北欧から南欧までをカヴァーする「ヨーロッパ文化圏」など存在しませんでした。

私が愛聴するのは、オスマン・トルコ軍楽隊の方です。いかつい和声や対旋律に頼らず(和声法や対位法そのものがありません)、斉奏斉唱されるメロディの表情(音程や強弱など)によってのみ、光輝や陰影を表すからでしょうか、彼らの音楽は行進曲でありながら、聴く者に「汗臭さ」や「束縛感」を押しつけません。人を「悲壮な覚悟」に追い込むことなく「前進」へ導いてくれる、珍しいタイプの行進曲だと思うのです。一人で仕事をする時には、この「元祖トルコ行進曲」をBGMにすることが、よくあります。私の祖先にオスマン・トルコの落武者や、トルコ軍と戦って落命した者はいませんから、手垢の付かない「楽曲そのもの」を享受することができます。

※行進曲のダウンロードは、こちらのウェブサイトから(トルコ語)
http://www.osmanli700.gen.tr/mehter/index.html

# by nazohiko | 2006-07-02 23:57
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by nazohiko | 2006-07-02 23:57 | ☆旧ブログより論考・批評等
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