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トゥーランドット(4)

1924年にプッチーニが没した時点で、歌劇「トゥーランドット」は、第3幕のひとつのクライマックスとなる、リューの自刃の場面までは決定稿が出来ていました。ここは、物語の大団円まで「もうひといき」という位置ですが、引き続くべき「カラフによるトゥーランドットへの求愛」の場と、舞台装置を替えて突入するラストシーンについて、プッチーニは指示や下書きを、潤沢には残しておかなかったようです。そこで、初演を指揮することになったトスカニーニは、アルファーノという作曲家に、第3幕の後半を補ってくれるよう依頼し、翌々1926年に「トゥーランドット」はミラノのスカラ座で初演されたのです。

私は、このようにして成立した現行版「トゥーランドット」の音楽を聴く度に、アルファーノ担当部分に不満を覚えてきました。歌唱・管絃楽ともに金属的な絶叫調が多く、印象に残るような旋律は見当たらず、なおかつ音楽の流れが、各所でぶつ切れになっているように察せられたのです。モーツァルトの「レクイエム」を仕上げたジュスマイヤーが、明らかにそうであったように、アルファーノも水準以下の作曲家だったのではないかと、これまでは勝手に想像していましたが、近年では書籍やCDを通じて、実はトスカニーニがアルファーノ担当部分(対応する箇所の台本も)を大幅にカットしていたことや、カットされる以前の姿を知ることが、私にもできるようになりました。

現行版のラストシーンは、わざわざ舞台装置を替え、老皇帝や廷臣の大合唱まで引っぱり出しておきながら、僅か20小節あまりで終わってしまいます。トゥーランドット姫はたった1箇所しか歌いませんし、カラフや皇帝に至っては一言も発しません。気がついてみれば、かなり奇妙な作りになっているのですが、本来のアルファーノ版では、トゥーランドット姫が父帝に「この異邦人の名前は、愛です!」と告げた直後に、トゥーランドットとカラフが「永遠の愛!」と高唱して、両主役が最後の大見得を切るなど、充実した祝典の場が展開してゆきます。他の箇所についても、現行版との違いは推して知るべし……。

(つづく)

# by nazohiko | 2006-05-04 01:10
by nazohiko | 2006-05-04 01:10 | ☆旧ブログより論考・批評等
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