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東京都交響楽団「プロムナードコンサート No.317」寸感

東京都交響楽団「プロムナードコンサート No.317」
2006年3月21日 午後2時 サントリーホール
広上純一(指揮・フォルテピアノ) 林美智子(メゾソプラノ)

◆モーツァルト:交響曲第31番 K.297(300a)
◆モーツァルト:コンサート・アリア「どうしてあなたが忘れられよう」 K.505
  広上純一(フォルテピアノ) 林美智子(メゾソプラノ)
◆マーラー:交響曲第4番
  林美智子(メゾソプラノ)

 私にとって最大の収穫は、休憩後に演奏されたマーラーの第4交響曲でした。マーラーの作品は、音楽進行の構成(通時的な構造)や、音響群の重層具合(共時的な構造)が、あまり分かりやすくないと思うのですが、広上純一の指揮する東京都交響楽団は、それらをいずれも明快に、なおかつ各部分に十分な精彩を持たせて、かといって間断したり分裂したりすることなく聴かせてくれました。こうした演奏方針は、モーツァルトの交響曲の中で最も「肥大」した姿を持つ、第31番にも活かされていたと思います。

 おかげで、この曲の構造面やテーマ面について、私なりに頓悟できた(つもりの)ところが少なくなかった一方、第4交響曲やマーラー作品全般に対して今まで抱いてきた理解や感情移入が、ありゃりゃと覆されたり挫折したりする瞬間も多々ありました。かつて内田百間は、或る演奏会のあとで「聴き慣れた曲なのに、自分の耳に入っていなかった音が、まだまだあったようだ」という意味の感想を述べましたが、私の印象も、この言葉にいくらか通じていそうです。

 今回の演奏における白眉は、最終楽章の結尾に至って、それまでト長調を基本として進んできた楽曲がホ長調の弱奏に転じ、そのまま締め括られてしまうところでした。突如キーが下がることによってもたらされる、柔和でありつつも我々を静謐に拒絶するような終結……そんな変調を、各楽器の音色も林美智子の声色も、こぞって存分に表現してくれました。私は絶対音感がイマイチですので(聴力テストの成績はそこそこなのですが、間違い方が絶対音感保持者と質的に異なるそうです)、従来ここでの転調効果を十分に感得できなかったのですが、今回初めて感覚として味わうことができた次第です。

 そしてホ長調の結尾は、ハープの低音とコントラバスだけで「消え入るように」というよりも「運動エネルギーを失ってゆき、ついに静止する如く」閉じられましたが、特にコントラバスだけが残ってから、広上純一が最後の指揮ポーズを解く瞬間までの10秒余こそは、音楽によって「静止」が表現された例の中でも、最も雄弁で強靭で聡明で冷厳な「静止」の一つだったと思います。# by nazohiko | 2006-03-22 00:16
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by nazohiko | 2006-03-22 00:16 | ☆旧ブログより論考・批評等
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