by 謎彦 by なぞひこ
by Nazohiko


機内食の後の乱高下

昨日のフライトは、離陸前に予告されていた通り、日本上空にさしかかってから、ずいぶんと揺れた。

そこそこの乱気流は、むしろ「空の旅の醍醐味」だと心得ているのだが、安全ベルトを締めていないと跳び上がってしまいそうな急落に遭った時には、さすがに若干戦慄したのか、「らくてん家とくろう症」と題された『サザエさん』の一篇が、脳裡にひらめいた。

 1コマ目:

   マスオさんとノリスケさんが飛行機に乗っていて、
   「ひどくゆれるねえ」と心配そうに話している。

 2コマ目:

   スチュワーデスがやってきて、
   エンジンが故障したので、ベルトを締めるように告げる。

 3コマ目:

   ノリスケさんとマスオさん、各々の想像の中で、
   彼らを乗せた飛行機が、黒煙を噴きながら墜落する。

 4コマ目:

   ノリスケさんの想像の中では、
   ノリスケさんが、先程のスチュワーデスと一緒に、
   南の島で、ウクレレを弾きながら暮らしている。
   海の向こうには、飛行機の残骸。

   マスオさんの想像の中では、
   小さな祭壇の上に、マスオさんの遺影が置かれている。

寂しげに微笑むマスオさんの遺影は、『サザエさん』全6477篇の中でも屈指の名画であり、残虐なまでの眼光で人間世界を見透かすことを得意とした長谷川町子の面目躍如と言えるが、揺れる機内でこの漫画を思い出した時、私の中のメーターは「ノリスケ側」から「マスオ側」へ、ちょっとだけ触れていたのだろう。# by nazohiko | 2006-10-02 12:51
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by nazohiko | 2006-10-02 12:51 | ☆旧ブログより論考・批評等
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