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南部坂 雪の別れ

赤穂浪士が吉良邸に討ち入ったのは、
旧暦12月15日の未明だったのだが、
浅野内匠頭と四十七士の眠る泉岳寺では、
新暦の12月14日である今日、
「義士祭」が行われることになっている。

忠臣蔵の物語は、
殺伐としたエピソードが続くので、
私はちょっと苦手なのだけれど、
「南部坂 雪の別れ」の場面は、大好きだ。
新暦ではなく、旧暦の12月なのだから、
江戸に雪が降っていても、不思議ではないのである。

討ち入りの晩を迎えた旧暦12月14日、
大石内蔵助は、浅野内匠頭の妻だった瑶泉院を訪ねる。
瑶泉院は、南部坂に近い屋敷に隠棲していた。

瑶泉院は、いよいよ決起の報告に来てくれたのだと思ったが、
大石は、屋敷の中にスパイが紛れていることを慮って、
自分には仇討の計画など毛頭なく、
もうすぐ江戸を離れて、
他の藩に再就職することになったので、
暇乞いにやってきたのですよと、嘘を言う。
期待が外れた瑶泉院に、ひどくなじられ、
浅野内匠頭のために焼香することまで拒絶されながら、
大石は袱紗包みを一つ残して、静かに辞去してゆく。

大石が去った後、
腰元に扮していたスパイが、袱紗包みに忍び寄るが、
幸いにも、スパイはその場で取り押さえられ、
取り戻された包みを、瑶泉院が開いてみると、
そこには、浪士たちの連判状が入っていた……。
二度と生きては会えぬであろう大石を、合掌して見送る瑶泉院。
そして、雪の南部坂を下ってゆく大石の後ろ姿。

講談で演じられる場合には、
連判状に見立てた手拭いを、両手で捧げ持ちながら、
浪士たちの姓名を、一気呵成に暗誦してゆくのが、
ひとつの見せ場となる。 # by nazohiko | 2006-12-14 21:47
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by nazohiko | 2006-12-14 21:47 | ☆旧ブログより随想・雑記等
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